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ドラマ終了時点での『PRINCE OF LEGEND』各キャラクター印象

"全オタク必見・2018秋覇権アニメ"ことドラマ『PRINCE OF LEGEND』全10話が終了しましたね〜〜〜!!!!(説明台詞モブ)

毎週プリレジェの新作が見られた2018年秋は本当に最高でした。
次は3月(遠い!)に劇場版『PRINCE OF LEGEND』が公開となるわけですが、多分それまでにまた色々情報が投下されると思うんですよ。そして新情報が出るたびにキャラクターの印象が変わっていくのがプリレジェくんなので、劇場版を観たら今抱いている感情が丸っきり変化してしまうと思うんですね。既に映画特報でテロリストを制圧する展開が来て意味が分からないし……。
youtu.be

ということで、ドラマ終了時点で自分がキャラクターに抱いている印象を書き留めておこうと思います。劇場版観てから「あ~こういう印象だったな~」って比べて楽しみます。

チームの印象→各キャラクターの印象→各キャラクターの推しシーン、の構成で行くぜ。プチョヘンザッ。

(↓各キャラクターの公式プロフィールと写真はこっち)
prince-of-legend.jp


team奏
メインチーム!
5話ナレーションで奏様と尊人(team京極兄弟)を指して「恋の三つ巴が火花を散らす」って説明されているけど、それはteam奏のことなのでは?と聞くたびに思う。チーム内部で閉塞した感情がギチギチに停滞してこんがらがっており、今にも破裂しそう。今後どう動いていくのか気になりますね。



朱雀奏(片寄涼太)
正統派王子。唯一自分の名前をチーム名に冠する男。プリンス・オブ・プリンス。
「金持ちの御曹司キャラ」って説明から、放送前は須王環みたいな感じかな?と思っていたが、実際見てみるとテディベアカットティーカップ・トイプードルだった。
公式は奏様をツンデレ扱いしているけど、個人的にはツンデレとはまたちょっと違うような気がする。単に「小2」の方が合ってるんじゃない?
メタ的に言って、初代伝説の王子がTAKAHIRO様、二代目伝説の王子が岩田剛典様なんだから片寄さんが伝説の王子になるに違いないんだろうな〜という感じ。そうでなければ、伝説の王子自体が選ばれないとかそういう展開になるんじゃないだろうか。
わたしは奏様の性格のいいところが大好きなので、果音様を騙して惚れさせてから捨てようとか言い始めたときはヤメテー!と叫んだのだが、結局現状奏様が振り回されている側なのでまあ、まあ……と見守っている。根は誠実で女性に優しいのは間違いないので、早くちゃんと自分の気持ちを自覚して果音様を大事にしてあげてほしい。
多分2年前のパーティで果音様に会ってる。

★推しシーン:
・「こういうスタイルの家もあるのか……」
奏様の性格の良さがめちゃくちゃ現れている台詞! 金持ちキャラの典型だと「うちの犬小屋の方が大きいぞ」とか言う場面だと思うんですけど、この誰のこともバカにしない柔らかい言い回し、奏様がみんなから慕われている理由が本当に分かります。



久遠誠一郎(塩野瑛久)
はい、みんな大好き・側近界の絶対的エース・俺たちの誠一郎。「絶対に幸せになってほしい」が視聴者の総意ではないでしょうか?
「生きてる限り永遠だ!」がつらい。わたしはHiGH&LOWのオタクだから分かるんですが、LDHの文脈上、変化せず永遠に続いていくものはないし、変化を恐れて停滞すると待っているのは死なんですよ。CHANGE OR DIEなので。誠一郎の考えは間違いなく否定される。そして、奏様が果音様のメインヒーローである以上、きっと誠一郎の想いは実らない。でも、永遠に同じものはないというのは未来への救いでもあって、悲しいことが起きても人生は続いていくので、その先で幸せになってほしい……。
ついポエムを詠んでしまいましたが、2話で見せた物理モノローグ(古畑任三郎スタイル)が大好きです。あと声がすごく良くないですか? 「門は?」「ないな」の声の響きめちゃ好き。

★推しシーン:
・「……皆まで言うまい」
皆まで言うまい……。

鏑木元(飯島寛騎)
何を考えてるのか分からない男。
21世紀の日本で「お仕えする方」を探していた点については、わたしとしては「まあそういうこともあるのかな……」と納得しています。でも完全に趣味活動というか、奏様が「自分の認める主君」の座から落ちた時にアッサリ見限りそうなんだよな。エゴしかない。
奏様のことは本質的に利用しているだけだし、果音様には興味がないし、でも誠一郎のことは大好きなんだよな……。「憧れと憎しみは表裏一体です」って自分が誠一郎のこと大好きだって話だよね?

★推しシーン:
・1話で果音様を尾ける奏様を「私が尾行します」と制したシーン
「おやめください」とかじゃなく「私が尾行しますので」って何!? こわい。


team京極兄弟
好きです、京極兄弟。明らかにHiGH&LOWの雨宮兄弟を踏襲したキャラクターなので好きになるのは間違いなかった。でももっとクールなタイプだと思っていたので、最初にチームソングを聞いた時は「こんなオモチャ箱みたいなチャカチャカした曲で合うのかな?」と訝しんでおりましたが、登場してみるとテーマソングのイメージピッタリの楽しい仲良し兄弟でか~わ~い~い~。果音様のことで主に竜ちゃんがちょっと気まずいを思いしてるけど、兄弟仲が悪くなることは絶対になさそうで安心できる。



京極尊人(鈴木伸之)
マイ推し。
長所は基本的に常識がありしっかり者で愛嬌があって大らかで懐が深く顔がかっこいいこと。短所は思い込みが激しく人の話を聞いておらず言動がそこはかとなくオッサンくさいこと。思い込みの激しさに朱雀家の血を感じるし、京極家の父親も一途とストーカーが紙一重の男なので、両家の男の悪いところを引き継いでしまっている感がある。
初登場回の最大風速がすごくて「推す!」となったのですが、その後どんどんバカとウザさが露呈していったのでこのまま推していいものか結構悩んだ。いいヤツなんだけどバカなんだよな……。さすが三留しただけある。10話でまたかっこいいところを見せてくれたのでまだ推しています。劇場版でもかっこいいところ見せてね……。
語彙とムーブからオタクの才能をバシバシ感じる。地下アイドルのおっかけとかやったらいいんじゃないかなと思うけど、果音様を信仰しつつも「自分のものにしたい」という欲求が前提にある1on1コミュニケーション型なのでやっぱり違うんかな。オタクをやった方が一般の個人に感情をぶつけるよりも他人を侵害する程度が低くなるし、充実すると思うからオススメしたいんだけど。
無理矢理キスするのはレイプなので反省してほしいと思っていたら、10話で謝罪していたので良かった。プリレジェ世界のドライな目線を通すとストレートにヤバイ男だけど、キラキラ恋愛ものだったらそんなに珍しくもないタイプだと思う。人間として見ると諸々許されないのですが、女性向けエンタメで人権を踏みにじられることに慣れたオタクとしては、コンテンツとしての彼を推せてしまうんですよね。
恋愛に関して、果音様のことを意志を持った対等な人間として認識できていない節がある。そこを乗り越えてほしいと思うけど、どうなんだろうな~。

★推しシーン:
・10話で奏様に「逆だろ」って言うシーン
あの作画すごくないですか!? 絶対原画がクリアファイルとか下敷きとかになって売り出されるやつ!!!! ドかっこよかった。最高。100回見た。
9話までは4話の「お前やな女だな」が最推しでした。字面だとネガティブな台詞なのに愛しくて仕方がないのが伝わってくる甘い声色で、これを携帯のアラームに設定して毎朝聞きたい(オタクはすぐに好きな台詞を着信音にしたがる)。尊人は「かのーん!」とか「竜ちゃん!」とかも甘い声色で発音してくれるのでたまらんですね。あと他の台詞も発音が緩くてかわいい。「かいちょお」とか。



京極竜(川村壱馬)
私のCP上の推し。seigakupostは竜果(竜×果音)を応援しています。
プリレジェ界のうちはサスケ。女オタクはみんなサスケくんが好きなので女オタクはみんな竜ちゃんが好き(暴論)。
公式は奏様をツンデレ扱いしていますが、わたしはプリレジェのツンデレ枠は彼だと思っています。竜ちゃんも早く恋心を自覚して!(「あの女を好きになったんじゃなくてアニキのものが欲しくなっただけだ」って着地本当に何?)
演者の川村壱馬くんの演技がバリバリ上手い! ナレーションも上手い! 台詞も表情も動きも上手い! ボーカルって何やる人?って感じに演技がめちゃうま。 ボーカルって何やる人?(歌う人だよ)(「森のくまさん」もめちゃくちゃ上手かったですね……)
詰問されてうろたえてる演技がめっちゃ好きなので、果音様に真正面から詰られてうろたえるシーンがほしい。頼みます劇場版。

★推しシーン:
・尊人にデートを申し込まれた果音様に口パクとジェスチャーで指示を出すシーン
連絡先教えてもらってニヤケてるところと迷った。ていうか5話は壱馬さんの演技が光りまくってるので5話全部好きですけども! でも特にここはかわいくて大好き。竜ちゃんもっと果音様とワチャワチャして~!


teamネクス
プリレジェのショタ枠。
Youtubeのトレーラーなどでよくダンスシーンが使われていたので、女子生徒たちに取り囲まれてキャーキャー言われているシーンなんだろうなと思っていたら、本編で流れたところ人ひとりいない屋上で自主練習しているシーンだったのでびっくりした。じ、地味! そんな素朴な感じなん?と心配になったが、担当回ではちゃんとモテモテキャーキャー描写が来たので安心した。
ドラマの終盤でいつの間にか京極兄弟と仲良くなってて可愛い。チムネクは光輝以外ははっきり「その他」の扱いだし劇場版でもゴールドとブラックはサポート要員かな。
友人に「teamネクストってダンスチーム名ってこと?」って聞かれたけど言われてみると確かに言及されてないね?



天堂光輝(吉野北人)
憧れの果音様に対して「すれ違う」というアクションのみ起こして当然見向きもされないのを、「もしかして……目が悪いのか?」などと言ったときはヤベー奴だなと思ったけど、その話の最後でちゃんと自分から声をかけて対話していたのでえらい!となりました。そう、必要なのは対話と相互理解だよ。聞いてるか王子全員。
光輝登場以降は周りでは割と光輝を応援する声が多く、わたしとしては、惚れたきっかけは加点対象にはならなくない?ていうか「守りたい」も幻想の押し付けでは?「女」だから「守りたい」って何?とちょっとトゲトゲしていたんですが、実際痴漢から助けてくれたし、10話の告白がめっちゃ良かったし、応援しない理由がなくなってきたな……。そもそも出会いと惚れたきっかけが「泣いてるか弱い女の子に何もしてあげられなかった」なことを考えると「守りたい」になるのもまあ分かるし。でも奏様と尊人に比べると一歩追いついていない感があるので頑張ってほしい。年上と付き合ってるの似合うし、果音様との相性自体は悪くないと思うよ!
あと、まだ北人さんの演技がたどたどしいところが光輝の年下感と一生懸命さをいい感じに増幅させていてよいと思います。
竜ちゃんとシンメっぽくなっててかわいいね。

★推しシーン:
・「果音さんと幸せになりたいんです!」
この告白がめっちゃ良かったので大量加点してしまった。10話の告白は奏様も尊人も「いいじゃん」って感じだったけど光輝がダントツで良い。ちゃんと相手と対等に歩んでいこうという意志が見える。良い~! 北人さんの演技のおぼつかなさが声色に切なさと必死さをプラスしていて本当に良い告白になっていた。



日浦海司(藤原樹)
こんなチャラい見た目でおばあちゃんの知恵袋を披露して来るの何? パツキンでおばあちゃん子ってそれ絶対良い子じゃーん!っていう。チムネクちゃんはみんな良い子。

★推しシーン:
・おばあちゃんの格言をドヤ顔で披露して誠一郎にドヤ顔で訂正されるシーン
かわいい~。

小田島陸(長谷川慎)
日浦くんが「ばーちゃん言ってたし」という分かりやすいフックを用意していることに比べるとちょっと印象が薄いかもしれない。でもやっぱりいい子。

★推しシーン:
・10話で「兄貴は伝説のヤンキーだけどな」とドヤった竜に軽率に肩パンかましたら凄まれてビビってるシーン
このビビってる表情がガチっぽくてめっちゃ好き。
仲良くなったヤンキーにノリで絡んだ結果キレられてるの、本当に「素朴」で味わいがある。


team生徒会
シュール&ギャグ。プリレジェのうすた京介枠。生徒会はいつもまとまって団子になって動いていて可愛いですね〜。アゴラップって何なんだろうね。



綾小路葵(佐野怜於)
葵会長、耳とか鼻とかがいつもほんのりピンク色で可愛い。
単体としては好きなんだけど、対果音様レースだと一番ダメ。「名前を覚えたから運命」って何だその破綻しかない理論は。舐めとるんか。本当にその志望動機で通ると思ってる!? 「他の企業は名前が覚えられなかったけど初めて企業名が覚えられたので御社が第一志望です」って言うんか!? おん!? いや葵会長は就活しないと思いますが……。単体では好きなので、あんま本筋に関係ないところで悔しそうだったり楽しそうだったりしていてほしいな。

★推しシーン:
・5話で転校すると宣言して揉めている京極兄弟を見て「困ったことになりましたねえ」って爪をいじってるシーン
自分でも何でか分からないけどここ、めちゃくちゃしゅき。。。♡ってなっちゃう。何故? 他の推しシーンは「ここが一番このキャラクターの長所が表れてる」とかで選んでたんですけどこれだけは本当にただの性癖です。なんかあの……葵様みたいな男がこういう興味なさそうなど〜〜でもいい態度取ってるのめっちゃセクシーじゃないですか? 



ガブリエル笹塚(関口メンディー)
名前といいビジュアルといいギャグ要員なんだよなあ。面白いし美味しいんだけど、折角だしメンディーさんに正統派キラキラ恋愛ものの役どころを与えてほしかったところもある。
わたしは果音様のシンパなので、葵会長の告白を断った果音様を「失礼だろうが!」って責めた時からガブ笹に対してちょっと思うところがあります。告白を断っただけの女子生徒を責めるんじゃないわよ!(そーよそーよ!)
果音様に関係ないところでモンペしてくれる分には何の問題もないです。側近たちとバトルしたりしないかな?

★推しシーン:
・玄武高専が禁煙だと聞き「うちの学校もだ!」と声を荒げて卓球のラケットで殴られているシーン
基本的に葵会長にないがしろにされているガブ笹が好きです。


team先生
チーム1人!



結城理一(町田啓太)
ハイ、みんな大好き結城先生!
わたしたちの「ところで伝説の王子って何?」という疑問に8話にして初めて答えてくれたのは結城先生だった。ありがとう結城理一。
そのキャラクター性は「ナルシストの英語教師」だけで推して知るべしですが、型を用意しつつもきちんと咀嚼・再定義して舞台に配置して来るのがPRINCE OF LEGENDなので、結城先生も独自の深みがある本当にいいキャラクターになっています。担当回である8話直前で公式から婚約者の存在が提示された時のTLのざわめきが忘れられない。でもこの設定で「教師と生徒の♡禁断の恋♡」ルートを潰して倫理性を担保しているの、本当に丁寧で信頼できる。
8話前半はほぼ結城先生の一人語りで回してるので、町田啓太さんのナレーションが上手さが堪能できる。町田さんのナレーションって技巧的な上手さですよね。聞いてると「あーテクってるなー」とビシビシ感じる。テニプリキャラソンで言う高橋直純さんのような技巧派枠。同じくナレーション上手な川村壱馬さんはサラッと情緒的な上手さなので、テニプリキャラソンで言うと甲斐田ゆきさんだと思うんですよ。早く結城理一と京極竜のプリレジェにおけるGENIUS~B&B~コンビの絡みが来ないかな(どんな絡み方するか全然想像がつかないな)。
結城先生のことは大好きだし伝説の王子の道を応援していますが、それはそれとして、これから先毎回伝説の王子選手権に参加して毎回敗れて永遠に伝説の王子を目指していてほしいなというところはあります。
8話を視聴するたび「I'm the prince」に「Yes!」って応え続けているので、プリレジェライブの結城先生パートで「I'm the prince」って台詞が来たらわたし1人で「Yes!」って叫んでしまうと思う。恥ずかしいのでみんなで一緒に叫んでもらえると嬉しいです。

★推しシーン:
・10話で「ああ!」って叫んだあと3Bに「すまない……」と謝るシーン
結城先生のこういうところが一番の美点だと思うんですよ! わたしは結城先生の対人能力と倫理観は相当まともだと思っていて、迂闊なことは言わないし、相手を尊重するし、ちゃんとした大人の男なんですよ。狂ってるのは気だけ! 堪えられなくて叫んじゃうけど、他者を慮ってちゃんとフォローを入れられる人なんですよね。そこの他人の自分とのバランスがすごく良い。自分のことは最高だと思ってるけど、だからといって他人を侵害したり見下したりはしない。良いナルシストだ……。なので、結婚生活も上手くいくし奥さんのこともちゃんと大事にするんじゃないかなと思います。
コメディ枠での推しは、8話で「トップオブザプリンス♡」という文言を聞いて「トップオブザ……」とサイレントに口をパクパクさせるシーンと、10話で歴代の皆さんの肖像に詰め寄っているシーンです。


team3B
team3Bと言いつつ実態はteam嵯峨沢ハル with Bという感じ。チムネク以上にメイン以外の2人が「その他」扱いされている。劇場版だともうちょっと出てくるかな?



嵯峨沢ハル(清原翔)
完全に出る作品を間違えている男。1人だけキラキラ恋愛作品から迷い込んでいる。どうしちゃったの? ここはプリレジェですけど……。
初めて果音様とのまともで双方向的なコミュニケーションを見せてくれたキャラクターでもある。9話にして、初めて……。
当初はもっとオラついた男なのかなと思っていたけど、8話でいきなり泣き出したところが駄目な大型犬みたいで庇護欲を掻き立てられた。「こりゃあーモテますわあー……」という感想。絶妙な「わたしがついていてあげなきゃ」感がある。年齢操作成人済み千歳千里ばりのヒモのポテンシャル。
1人だけ「それらしい」キャラクターであるが故のヤバさがありますね。「果音の男は俺が決める」じゃあないんだよ。果音様宅に来客があると即出てくるのは何なんだ? 人感センサーでも仕込んでる?
伝説の王子選手権に関する「もっとモテたくて伝説の王子を目指したけど優勝できなかった」からの「王子とモテは必ずしも一致しないという結論に至った」の、そこに着地する!?という力技にびっくりした。「俺は自分で思うよりモテないのではないか?」とかじゃないんだ。ネアカパリピの肯定パワーすごい。2年前に高校生だから、3年前の二代目伝説の王子選手権で龍崎恭也様に負けたのかな。
正直果音様とくっつくことに何の異論もないのですが、自分の気持ちに気付きもせずに果音様の手を離してよく分からない胸の穴を水面下で見ないふりしながら「女が好きだー!」って生きていくのもそれはそれで捨てがたいですね。自覚するならくっついてほしい、くっつかないなら自覚しないでほしい、そんな感じです。

★推しシーン:
・回想で「女が好きだー!」と叫ぶシーン
ここめちゃくちゃいいシーンですよね。ヒロインの心の傷を軽くしてあげるシーン。9話回想、基本的にいい話なのと、銀河万丈さんがさくさく場面を進めるので、「ザ!世界仰天ニュース」的な感動ストーリー感がある。「果音にだけはエロい気持ちにならない」って、つまりは特別ということなので、それを恋と呼んでもいいんだよ……。



翔(遠藤史也)
TAICHI(こだまたいち)
ごめんここだけまとめて紹介しちゃうし推しシーンもなしです。だってあまりにも出番が少ないので……。劇場版に期待。
結城先生に自己紹介してるとき、ハルと翔は実際に仕事道具を持ってるのにTAICHIはエアギターなの、普段から楽器は弾くふりだけしてますという暗示なのかなと疑っています。


何とか書ききった!
これを書いている途中で『劇場版PRINCE OF LEGEND』最速上映の先行当落発表があり、無事最速上映初日に行けることになりましたので、わたしの次回新規プリレジェ摂取は2月13日と相成りました。あと1ヶ月半ほどドラマの王子たちを噛みしめて味わいを深めようと思います。王子!王子!王子!王子!

あなたを愛しているということ(「おおきく振りかぶって」の矢野淳の魅力について)

矢野淳くん、世界で1番大好きです。

矢野淳とは?

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矢野淳(やのあつし)、通称ヤノジュンは、漫画「おおきく振りかぶって」に登場する高校球児。
美丞大狭山高校野球部所属、3年、(おそらく)副キャプテン、セカンド、背番号4、打順は3番。
7月3日生まれ、蟹座、O型。177cm69kg。兄弟構成は兄が1人、両親と祖父母と同居。(今は寮生活かも?)


基本プロフィールはざっとこんな感じです。
わたしは矢野くんのことが本当に本当に心の底から大好きで、「おおきく振りかぶって」12巻を読んで以来、世界で最も愛している人間のうちの一人です。
舞台「おおきく振りかぶって 夏の大会編」を観て、改めて矢野くんが好きという気持ちが湧いてきてたまらなくなったため、如何に矢野くんが素晴らしいか、矢野くんのどこが好きかについて語りたいと思います。

(舞台での矢野くんについては別記事に書きましたのでそちらも読んでいただけると嬉しいです。)
lookmusical.hatenablog.com

ビジュアル編

顔!!!! 顔の話をします!!!!! まず顔より始めよって郭隗も言ってた!(言ってない)
まあ見てもらえば分かりますが、あのね、かっっっこいいんですよ……。
キリッとしたつり目、高校球児にしては長めの短髪、黒髪。授業中に黒ぶち眼鏡をかけていてほしい~!(突然のメガネフェチ失礼)
前髪の長さに反して襟足が短く刈り揃えられているところも大変キュートです。素晴らしい首筋です。
あと、私見で大変恐縮ですが、177cmってめちゃくちゃ理想の身長じゃないですか? 坂田銀時銀魂)とか影浦雅人(ワートリ)とかと同じ!
体つきもがっしりとして筋肉質です。流石県内ベスト8の3番バッター。打席に立ってるコマなどを見てもらえれば分かりますが、本当に肩とかしっかりしています。

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ひぐちアサおおきく振りかぶって』12巻、講談社、2016(電子版)、92ページ

また忘れてはいけないのが、矢野くんの西浦戦初打席、ビデオで見たシュートの球筋を思い出している場面の表情。アニメでめちゃくちゃキュートに作画されてて度肝を抜かされました。普段キリッとしてるだけにギャップが効いた。
後述の性格編でも言及しますが、矢野くんって強くて正しくてかっこいいだけじゃなくって、ちゃんと''男子高校生''なんですよね。そういう「等身大」感に惚れ惚れとしてしまいます。

実力編

矢野くんは野球センスもピカイチです!
何せ、本作品の主人公である三橋の癖玉を初めてまともに打ち返した相手なのです(打ち慣れてる三星組は除く、慎吾さんは打ち損じ、佐倉は''勝負''に負けたので除外)。
それ以外でも西浦戦では積極的に点に絡んでおり、主人公たちを苦しめています。
打順は3番、守備も上手い(遊撃手である川島との連携を西浦側から「プロじゃねんだから!」とまで褒め称えられています)。
それと、作中で明言はされていませんが、おそらく副キャプテンです。根拠は、新聞の取材にキャプテンである和田と並び監督に肩を組まれて写っていること、チームミーティングに投手組・捕手組・キャプテンに混ざり参加していることです。

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新聞記事の写真に写る矢野くん(ひぐちアサおおきく振りかぶって』11巻、講談社、2016(電子版)、144ページ)
また、これは性格編とリンクするんですが、プレースタイルにまっすぐで不器用な人間性が滲み出ています。
西浦側のサインが美丞に盗まれているとバレる決定打となったのは矢野くんの打席です(真面目で不器用な性格ゆえに!)。
サイン読んでそのまま打っちゃうからバレたんですよ。常に直球勝負で駆け引き下手なんです。その前に川島くんの駆け引き上手な描写が挟まれているので、ことさら矢野くんの不器用さが際立っています。
この打席では犠打の指示が出てるのに打席に立っている間にうっかり指示を忘れて普通にヒットを打って監督に睨まれており、本当にめちゃくちゃまっすぐでかわいい……。

性格編

ここがメインです、矢野くんの一番の魅力はその人間性です!

「塁上でまた危険なプレーしたらその場でお前降ろすよう監督に言うぞ」
「お前はもしかしたら誰よりも勝ちてーのかもしんねーけどルールギリギリのプレーするたびお前はオレ達や監督の顔に泥ぬってんだかんな」
「自分にも だぞ」
「胸はって勝とーぜ!」

分かりますか、この、まっすぐさ……。
これは矢野くんが、自チームの正捕手である倉田が故意にラフプレーをしていると気づいて忠告している場面での台詞です。
おそらくチームで唯一、矢野くんのみが不正に確信を持っており、かつ、矢野くんのみが忠告しているのです。
このですね〜〜〜、この、正しさと実直さと覚悟!
矢野くんは、自分の中に確固たる「正しさ」の軸があり、それを貫ける覚悟を持っています。
チームメイトが倫理に反することをしていたとして、普通はそれを真正面から指摘したら相手から恨まれるかもしれないと考えるはずです。また、不正を正したとして、もしかしたらチームメイトにも疎まれる可能性もあります(何故なら、今までそれで勝てていたのだから)。
それでも自己の尺度に照らして「正しいこと」を貫き、それによる不利益を被るだけの覚悟で発言している。直接まっすぐ伝えるあたりに矢野くんの不器用さが見て取れます。
同時に、これは倉田とチームメイトに対する信頼でもあります。「分かってくれる」と信じているということです。釘を指すけど信頼もしているのです。
ジャッジメンタルなだけの男ではないしエモーショナルに傾倒するばかりでもない、両方を持ち合わせた、非常に優れたバランス感覚の持ち主です。

同じく、矢野くんの持つ相手への厳しさと信頼の同居が如実に表れている台詞が、「しっかりな!」です。
これは、倉田がサードランナーとして塁上にいていよいよ次が得点のチャンス、イコール、またクロスプレーが発生する確率が高いという場面で、矢野くんが倉田にかける台詞です。
つまり、「見てるからな」と「信頼してるぞ」の両方の意味合いが込められているのです。それを口に出してしっかりと相手に伝えるところ、本当に美徳ですよ……。
(因みに、矢野くんの厳しさについては、投手の鹿島から「お前たまには人ほめたらどう?」と言われていることから、普段から他人に厳しいんだろうなーと窺い知ることができます。)

その反面、倉田が西浦との試合で意図せず相手捕手に怪我をさせてしまった時には、弁明する倉田に対し「近くで見てたから分かってる。引きずんな!」とフォローし、「お前は大丈夫か?腕踏まれたんじゃねーのか?」と心配しています。
倉田がラフプレーをやっていたことを知っていながら、今回はわざとではないと理解して、「それはそれ」として物事を切り替えて判断することができる。厳しいだけではなく、きっぱりしていて潔くて、情に厚く公平、誠実で面倒見が良い、仲間想いで心がまっすぐで素晴らしい人なんです。

矢野くんはこのように大変素晴らしい人間ですし、そのことは一点も疑う余地がありません。その上更に、試合中のベンチで冗談を言って爆笑してるところを監督から他選手とひとまとめに怒られたり、新聞の取材写真に満面の笑みで映っていたりする、ごく普通の高校男児の一面も持ち合わせています。めちゃくちゃ完璧なようでいてこの普通さ、親(作者)であるひぐちアサ先生のバランス感覚が本当にすごい。


ついでに、これは完全に蛇足の妄想ですが、個人的に矢野くんは桐青の島崎慎吾さんと気が合うと思っている(矢野くんと和さんが本質的に似てるから)ので、同じ大学に進んで野球部(''サークル''でなく''部'')で出会って仲良くしてほしいです。
あと、祖父母と同居だからきっと老人に優しいんだよ……。


以上、矢野くんの魅力について語らせていただきましたが、どうでしょう、伝わりましたでしょうか?
正直に申し上げて、矢野くんの魅力はわたしの言葉では語りきれていないと思うので、ひぐちアサ先生による素晴らしい原作を読み、その原作への多大なリスペクトをひしひしと感じる素晴らしいアニメを見ていただいて、矢野淳(cv.阿部敦)に打ちのめされてほしいところです。矢野くんは本当にとてもとても素晴らしい人間なので……。
おおきく振りかぶって」という作品に触れたことがない人も、通ったけれど何故か矢野くんをスルーしてしまった人(!)も、できれば矢野くんの素晴らしさを頭の片隅に置きつつ、どうぞよろしくお願いいたします。

最後に、わたしは、自分自身がこの素晴らしい作品に出会い、更にその中でこの世で一番好きな人間と出会えたことを奇跡のような幸福だと思っています。
矢野淳という存在がこの世にいること、おおきく振りかぶってという漫画があること、それがアニメになったこと、更に2018年に舞台作品となり、新規の「矢野淳」が提示され、改めてこうして向き合うことができたこと、全てがこの上ない幸福です。原作・アニメ・舞台に係わった全ての人に感謝いたします。

今年も来年も再来年も、今までもこれからも、ずっと先まで、矢野くんのことが大好きです。


あなたがここにいるということ(舞台「おおきく振りかぶって 夏の大会編」東京千秋楽に寄せて)

※ほぼほぼ矢野淳(演:倉冨尚人さん)の話しかしていません。※

 

本日、2018年9月17日、「振りステ」こと舞台「おおきく振りかぶって 夏の大会編」を観劇してまいりました。

わたしは美丞大狭山高校の矢野淳(通称ヤノジュン)というキャラクターが大好きです。この舞台は矢野くんのために観に行ったと言っても過言ではありません。この世に存在する全キャラクターの中で矢野くんが一番好きです。(同率有り)

そういうわけで、この公演が発表されたときから、緊張と期待がごちゃまぜになっていました。

いや、矢野くん、どういう扱いになるの?

前作でも阿部とか結構舞台独自の解釈でしたし(個人的には悪ふざけが男子高校生っぽくて好きですが)、まさかコミックリリーフの役割を与えられたり?するのかも???という不安で日和ってチケットは千秋楽の分しか抑えていませんでした。自分の誕生日が9月17日なので、どうしてもそこで矢野くんを見たくて、それ以前に見て「なんか違うな」ってなるのが怖くて……。

千秋楽で見て「なんか違うな」ってなったらとんだバースデーなのでぶっちゃけ賭けだったのですが、結論から言うと賭けには勝ちました。めっちゃ良かったです。

 

具体的にどう良かったのかというと、「矢野くんの依り代が動いている」、これに尽きます。「矢野淳」としての役を公的に与えられた人間が動いている。肉体を持ってそこに「いる」。笑ったり、話したり、走ったりしている。それを見られるなんて、びっくりするほど幸運で、すごいことです。

更に具体的には、三次元に受肉した矢野くんがワンナウトとかツーアウトの形にして手振ってるのとかめちゃくちゃ可愛かったです。永遠に見ていたい。あとキャッチして投げたあとグローブでボール投げた方向をピッと指す仕草をよくしていたんですけど、それがもうかっっっっこよかった。好き。「俺が監督なら球種は捕手に任すね」って言ってる時の指差しポーズとかバリバリにかっこよかった。最高。序盤で「青春ライン」に乗せて踊るんですが、試合応援とかこんな感じでやってたのかなーとか体育祭や文化祭でこういう創作ダンスしたりするのかもなーと想像するのも楽しかった。

アニメだと作画枚数が決まっており「意味のある」動作しか基本は抜かれないんですけど、舞台だと生身の人間なのでステージの上にいる間は常に動いていて何かやってるわけです。最高でした。ありがとうございます。「矢野くんの試合を応援しに来たらこんな感じなんだろうな」という疑似体験ができました。舞台になってくれないと得られない経験でした。ありがとう。

 

矢野淳役である倉冨尚人さんが切れ長の目で真面目っぽい顔立ちでまたいいんですよね。所謂「若手俳優顔」じゃないというか。「若手俳優顔」(目がくりくりしてて邪気がなくて肌が白くてつるつる)もそれはそれでいいんですけど、原作から想像される矢野くんはそういう顔ではないので倉冨さんのような方を当てていただいて良かったです。ありがとうございます。ガッツリ部活やってる高校球児にしては細身かなというところはありましたが、あくまで依り代なのでそこらへんは問題ないです。

演技なのか倉冨さんが元々持っていらっしゃる資質なのかはわかりませんが、試合中の一挙一動に矢野くんの生真面目さが現れていたのも大変良かったですね。千秋楽だったので最後一人ずつ挨拶もあったのですが、他の人の挨拶を頷いたり笑ったりリアクション取りながら聞いていたので、倉冨さんの元々の性格がそういうふうなのかもしれないです。(横にいた佐倉大地役近藤さんはめちゃくちゃどうでもよさそうな表情で人の話を聞いていてそれはそれで面白かった) 

前述した最後の挨拶でも、倉冨さんが矢野くんの作中の台詞である「胸張って勝とうぜ!」を言ってくれて嬉しかったです。「胸張って勝とうぜ」は「自分にも、だぞ」に並び矢野くんの実直で誠実で仲間思いで曲がったことを看過しない性格を表している名台詞なので……。本当に嬉しかった、ありがとうございます。

 

そんなこんなで、HPのキャスト写真や舞台見始めの頃は「フーン?」と思っていた(失礼)のが終わる頃には「矢野くん♡♡♡」となりました。いい誕生日になりました。ありがとうございます。

 

 

そもそも、「美丞大狭山高校3年の矢野淳が好き」ということは、イコール、「今後ほぼ新規で出番が与えられないことが確定しているキャラクターが好き」ということです。

3年、対戦校、引退済、今後の主人公の物語に絡んでくるような要素を持ったキャラクターではない、人気もそれほどない、出番がアニメ化済。

このまま二度と本編に出ることもなく、描き下ろしイラストが出るわけもなく、何の情報も更新されないのだろうと思っていました。それが舞台になったことで、新規の「矢野淳」が提示されて、それを受け取ることができたこと、本当に嬉しく思います。

原作のひぐちアサ先生、この舞台を企画してくださった方々、スタッフの皆様、そして演者の倉冨尚人さん、本当にありがとうございました。 

2017年舞台・ライビュ覚え書き

1月 舞台『刀剣乱舞』虚伝 燃ゆる本能寺~再演~(北九州ソレイユホール

2月 ミュージカル『テニスの王子様』青学vs六角(キャナルシティ劇場)

4月 ミュージカル『テニスの王子様』TEAM Live HYOTEI(TOKYO DOME CITY HALL

    ミュージカル『刀剣乱舞』三百年の子守歌(ライブビューイング)

5月 ライオンキング(四季劇場[秋])

7月 小劇場系の舞台

    ミュージカル『テニスの王子様』青学vs立海TOKYO DOME CITY HALL

9月 デスノート THE MUSICAL(新国立劇場

10月  手塚国光 Anniversary EVENT 2017~This is my song for you~(DMM VR THEATER)×3

    レディ・べス(帝国劇場)

    舞台『弱虫ペダル』新インターハイ篇~ヒートアップ~(天王洲銀河劇場

11月  レディ・べス(帝国劇場)

12月  小劇場系の舞台

    三代目 J Soul Brothers LIVE TOUR 2017 "UNKNOWN METROPOLIZ"(ライブビューイング)

 

※番外

9~12月 HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY(映画館 ×7、HiGH&LOWカフェ ×3)

『この世界の片隅に』て、覚めた後の夢の話

映画『この世界の片隅に』を鑑賞いたしました。

丁寧につくられた良い映画だと思います。

皆さん既に素敵な感想を沢山書かれていますので、個人的にいちばん強く印象に残った最後の女の子について書きたいと思います。

それと、わたしはほぼ前知識なしで観に行ったのですが、映画鑑賞後に「しまった、これは絶対漫画を先に読むべきだった!」と思い即購入して読んだところ、映画で感じたこととまた違った感想を抱いたので、そのことについても書きます。

 

この世界のあちこちにいるわたし

結論から言うと、あの女の子のお母さんがすずなのだなと感じました。勿論、本当は別人です。でもあれは、子供が"出来ていた"すずであり、晴美ちゃんと"左手"を繋いでいたすずだと思いました。

 

「過ぎた事 選ばんかった道 みな覚めた夢と変わりやせんな」

 

あのお母さんは、すずの見ていた「覚めた夢」です。

もし子供が生まれていたら、もし晴美ちゃんと右手でなく左手を繋いでいたら……そういった「もしかしたら存在していたかもしれない」選択肢を選んだすず「達」です。

人生の分岐点は沢山あって、沢山選択をした先に今の現実を歩いている自分がいて、自分が選ばなかった以上その先は自分にとっては全部夢になる。

わたしは元々「胡蝶の夢」が好きなので、この考え方がとても好きでした。

この世界の片隅に』は全編的にこの「覚めた夢」がテーマとして根底にあって、どんな道でも自分で選んで来た現実である以上頑張って戦って生きていかなきゃいけない、というのがわたしの感じたことです。

本編でもいくつか選択については言及されてます。晴美ちゃんのこともだし、終盤広島に帰るか呉に残るかを選ぶところとか、水原さんのところとか。

 

ただ、周作とすずの出会いって、すずからすると「おとぎ話」だったじゃないですか。最後すずが周作に「ずっと一緒にいて」と言う場面でもあの化け物が出てきます。

あれによってあの物語そのものが虚構性を持つというか、「そもそもあれは最初から最後まで夢の中の出来事だったのではないか?」と思えてくる。

そうするとテーマ(だとわたしが思っている)の「現実を生きていかなきゃいけない」と合わなくなってしまいます。うーん。解釈に整合性がない。ここちゃんと一本筋の通った考察が聞きたいです……私の頭だとちょっともう思いつかない……賢い人よろしくお願いします……。

 

もしかして原作だと他にもこれに関する描写があるかな?というのもあり急いで原作を読んだのですが、それによりまた違った感想を抱いたので以下に書きます。

 

「代用品」のこと

原作を読んで思ったのが、映画とアプローチが「逆」だということです。

原作のキーパーソンとして「白木リン」さんが出てきます。

リンさんについて詳しいことはまあ原作読んでもらえば分かるんですけど、周作さんと良い仲だったんじゃないか?というような描写がところどころにあります。

映画ではすずのいる道があって、「すずがいたかもしれない」他の道が示されているんですけど、原作では逆に、すずの道と、リンさんという「すずの道にいたかもしれない」人に焦点が当たっているという印象でした。

自分の道にいたかもしれない人がいて、今この道を自分が歩いていてもいいのか悩んで、ここが自分の居場所だと肯定するというのが原作の重要な部分だと思います。そういう意味で映画とは逆だなと。

 

原作の女の子のお母さんに関しては、映画の知識があったせいもあるかもしれないけれど、映画の時ほど明確に「すずだ!」とは思わなかったですね。

あと化け物のエピソードについても、映画ほどには虚構性を感じずに、ただの物語上のエッセンスのような印象を受けました。原作だとすずの「お話」として他人に語り聞かせているという形を取っているので、虚構性が強調されて感じたのかもしれません。

以上が原作と映画との違いで興味深い点でした。

 

 

映画鑑賞後、「原作を読んでから映画を観ていたらきっとものすごく映画のクオリティに感激しただろうに」と悔しくて悔しくて仕方がなかったのですが、実際原作を読んでみると映画でリンさんの存在が希薄になったことが残念でならなくなっていただろうなと思ったので結局原作と映画どちらが先が良かったかはよく分かりませんでしたね……。

取り敢えず、もう一度映画を観たくはなりました。あとパンフレットが欲しいです。

本当に丁寧に作られた良い作品なのでもっと上映館が増えて多くの人が観たらいいなと思います。

「すごいものを見た」(テニミュ3rd氷帝千秋楽・手塚跡部戦に寄せて)

2016年9月25日、「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン 氷帝公演」千秋楽をライブビューイングで鑑賞した。

鑑賞後、「すごいものを見てしまった!」という気持ちでいっぱいになった。

 

何が起こったのか?

劇中のシングルス1 手塚対跡部戦で、手塚国光役の財木琢磨が流血するというアクシデントがあった。流血が白いユニフォームの胸から腹までを大きく染めて、一瞬「このシーンは血糊を使うんだったっけ?」と考え込んでしまった(テニミュでは他公演で血糊を使う演出が存在します)。それくらいたくさん血が流れていた。

「違う、あれは本物の血だ」と認識した後も血は点々と流れ続けた。場面はちょうど跡部が手塚の怪我を見抜き追いつめるシーンで、手塚は自分の腕を犠牲にしても試合を続けてチームの勝利を優先させる。流血を顧みず演技を続ける財木の姿が、手塚に重なった。重ねて見た。

 

手塚を心配する部員が手塚に声をかけて、手塚は「来るな!」と叫ぶ。

繰り返し演じられてきたはずのこのシーンに、ピリピリとどうしようもない緊迫感があった。部員役の皆は財木の怪我を心配したように思えたし、「来るな!」という言葉は流血をおして芝居を続ける財木本人の叫びのように感じられて仕方がなかった。あの瞬間私たちは、財木琢磨の演技を見る観客でありながら、同時に手塚国光の試合を見守る観客でもあった。虚構の舞台に、感情は本物だった。少なくともそう感じられた。財木の怪我が、舞台と現実をリンクさせてくれた。握りしめた手が震えた。

 

何を見たのか?

あの瞬間財木の覚悟と手塚の覚悟を重ねた、それは観客のエゴだと思う。あれは制作物としてはただのハプニングだった。でもやっぱりどうしようもなく本物だったし、私たちにとっては限りなく理想で幻想で現実だった。

私たちは自分の見たいものを見ていた。虚構を現実だと感じただけ、そう感じたかっただけ、勝手に理想を投影しただけ。ただ、舞台というものの目指すところはそこだと思う。あの舞台上で起こる虚構を役者の手で観客に「現実」だと感じさせることが舞台という表現手段の目指す理想の一つなのだと。そういう意味では、今日のこの公演は舞台というエンタテイメントの目指す境地の一つを、間違いなく体現していた。

 

手塚の覚悟と財木の覚悟、手塚を心配する気持ちと財木を心配する気持ち、舞台を心配する気持ちと試合を心配する気持ち、そういう虚構と現実が交ざりあって自分がどこにいたのか分からなかった。あの瞬間舞台を観る私がいて、試合を観戦する私がいた、どちらも確かに本物だった。

あの瞬間の「私たち」は、舞台を観る観客であり、試合を見る青学生であり、大石副部長であり、跡部景吾であり、越前リョーマでもあった。全部の気持ちを理解できた。大石の「もうやめろ!」という気持ち、跡部の「貴様がこんなに熱い男だったとは」という気持ち、越前の「青学の柱を託された」という気持ち、全部全部あの瞬間に理解出来た(と思った)。舞台を観る観客である「私たち」は、大石が、跡部が、リョーマが見ている試合を観ていた。一緒のものを観た。あの瞬間確かに私たちは同じものを観た。これは観客のエゴだけど、でも絶対にそうだった。

続く越前対日吉戦でも、試合の勝利を願いながら手塚のことを心配する自分がいて、あの気持ちは青学レギュラー陣を含む「試合を観戦する観客」の気持ちだった。手塚が、財木が、決死の覚悟で繋いでくれた試合だからこそ、あの場にいた「私たち」はリョーマに対し「勝てるだろうか、勝ってほしい、どうしても勝ってくれ」と祈った。あの感情は間違いなく本物だった。私たちは「あの場」にいて、「あの試合」を観ていた。

 

舞台は誰のものか?

やはり舞台というのは虚構なんだよなとも思う。虚構を現実と信じ込ませたら「勝ち」だ。そして、今日観たものは観客としては「すごい」と思ったけど、手法としては多分失敗のはずだ。あれはただのアクシデントで、あってはならないことで、観客が勝手にドラマ性を感じて感動しただけだ。だって原作では手塚くんはあの瞬間に怪我をしないし血を流さない。台本の上で成り立つ原作ありきの舞台では間違いなく失敗だった。でもやっぱり鑑賞した側としては、あの時の感情は紛れもなく真実だったと言いたい。

作り手から見ると失敗だった。でも目指すものはそこだというのは間違いないはず。「大丈夫なのか」「そこまでやるのか」「なんて覚悟だ」「あの思いを繋いでくれ」、観客に心からそう思わせることが舞台というエンターテイメントの目指すところで、そういう意味では今日の結果は間違いなく「成功」していた。私たちはすごいものを見た。

 

何故舞台を観るのか?

今日の感情は、あれを生で見られたということが必要条件だったと思う。伝聞で「そういうことがあった」と聞くのでは駄目、後に映像で「こういうことがあったんだ」と知るのでも駄目。あの感情を味わうには間違いなくあの瞬間に立ち会う必要があった。後から知るのでは単なるアクシデントだけど、あの瞬間を共有した人間にだけは確かな現実だった。

また、同時に、千秋楽だからこそだとも思った。もし今日が「最後」じゃなかったら、観客も「明日の公演は大丈夫かな」と心の片隅で考えてしまったと思う。あれが最後だと皆が知っていて、「最後なのに」「もう次がないのに」という気持ちが、原作の「一度きりの試合」を見守る気持ちとリンクした。

それって、映画でもドラマでもコンサートでもない、舞台だったからこそ味わえたもの、舞台だったからこそ表現しえたものだと思う。キャラクターがいて、役者がいて、その目の前に観客がいるから観られたものだった。それは、「何故我々は舞台を観るのか?」という問いに対する答えでもある。ドラマでも映画でもなく舞台を観る、あの一瞬のためにお金を払う、そういう行為に対する明確な答えだった。舞台は生き物だという言葉の体現の一つを見た。

 

テニミュの持つ虚構性

テニミュのような舞台だから味わえた感情だよねという話を観劇後に友人とした。友人は宝塚が好きなのだけど、宝塚で今日のようなことが起こるのは有り得ないし許されないと言っていた。テニミュのようにアドリブが組み込まれている舞台だから「すごいもの」になったのだと。

テニミュは元々メタ的なものの見方を前提として作られている。ギャグパートもあるし、日替わりにもメタ的なネタを入れることがある。挨拶でも「〇〇役の××です」と言う。制作側も鑑賞側も、「演じる役者と演じられる役」どちらも存在することを前提としている。もしこれが夢の国のように「中の人はいません」という文化だったら、今日起こったことは名実ともに「失敗」になってしまっていたはずだ。

私たちが今日味わえた感情は、テニミュだからこそ味わえた。

 

そもそも財木が怪我をしたのは、『一騎打ち』において跡部役の三浦のラケットが額を掠めたことが原因らしいけれど、それも三浦が「跡部」として財木の「手塚」に向かっていく気持ちがあったからこそだし、「手塚」が「跡部」の気持ちを真正面から受け止めたからこそだと思う。なるべくしてなった、とまで言ってしまうのは違うかもしれないが(そもそもあれは「失敗」なので)、でも役者が本気で虚構を現実にしようとしたからこそ、あの時あの瞬間、虚構と現実がリンクして全てが溶け合った。

 

本当に陳腐な言い方になってしまって恥ずかしいのだけど、私たちが見たのは、舞台というものが魅せた一つの「奇跡」だった。私は今後舞台を観る時、絶対に今夜の経験ありきで観るはずだ。今日のあの瞬間にあの舞台を観られたということは、今後私が舞台を観続けるだろう上で非常に得がたい重要な経験だったと思う。あの瞬間に立ち会えた幸福に感謝します。私は、すごいものを見た。