新たな自分でいっぱいにするよ

感想は自分のためのエンターテインメント

あなたがここにいるということ(舞台「おおきく振りかぶって 夏の大会編」東京千秋楽に寄せて)

※ほぼほぼ矢野淳(演:倉冨尚人さん)の話しかしていません。※

 

本日、2018年9月17日、「振りステ」こと舞台「おおきく振りかぶって 夏の大会編」を観劇してまいりました。

わたしは美丞大狭山高校の矢野淳(通称ヤノジュン)というキャラクターが大好きです。この舞台は矢野くんのために観に行ったと言っても過言ではありません。この世に存在する全キャラクターの中で矢野くんが一番好きです。(同率有り)

そういうわけで、この公演が発表されたときから、緊張と期待がごちゃまぜになっていました。

いや、矢野くん、どういう扱いになるの?

前作でも阿部とか結構舞台独自の解釈でしたし(個人的には悪ふざけが男子高校生っぽくて好きですが)、まさかコミックリリーフの役割を与えられたり?するのかも???という不安で日和ってチケットは千秋楽の分しか抑えていませんでした。自分の誕生日が9月17日なので、どうしてもそこで矢野くんを見たくて、それ以前に見て「なんか違うな」ってなるのが怖くて……。

千秋楽で見て「なんか違うな」ってなったらとんだバースデーなのでぶっちゃけ賭けだったのですが、結論から言うと賭けには勝ちました。めっちゃ良かったです。

 

具体的にどう良かったのかというと、「矢野くんの依り代が動いている」、これに尽きます。「矢野淳」としての役を公的に与えられた人間が動いている。肉体を持ってそこに「いる」。笑ったり、話したり、走ったりしている。それを見られるなんて、びっくりするほど幸運で、すごいことです。

更に具体的には、三次元に受肉した矢野くんがワンナウトとかツーアウトの形にして手振ってるのとかめちゃくちゃ可愛かったです。永遠に見ていたい。あとキャッチして投げたあとグローブでボール投げた方向をピッと指す仕草をよくしていたんですけど、それがもうかっっっっこよかった。好き。「俺が監督なら球種は捕手に任すね」って言ってる時の指差しポーズとかバリバリにかっこよかった。最高。序盤で「青春ライン」に乗せて踊るんですが、試合応援とかこんな感じでやってたのかなーとか体育祭や文化祭でこういう創作ダンスしたりするのかもなーと想像するのも楽しかった。

アニメだと作画枚数が決まっており「意味のある」動作しか基本は抜かれないんですけど、舞台だと生身の人間なのでステージの上にいる間は常に動いていて何かやってるわけです。最高でした。ありがとうございます。「矢野くんの試合を応援しに来たらこんな感じなんだろうな」という疑似体験ができました。舞台になってくれないと得られない経験でした。ありがとう。

 

矢野淳役である倉冨尚人さんが切れ長の目で真面目っぽい顔立ちでまたいいんですよね。所謂「若手俳優顔」じゃないというか。「若手俳優顔」(目がくりくりしてて邪気がなくて肌が白くてつるつる)もそれはそれでいいんですけど、原作から想像される矢野くんはそういう顔ではないので倉冨さんのような方を当てていただいて良かったです。ありがとうございます。ガッツリ部活やってる高校球児にしては細身かなというところはありましたが、あくまで依り代なのでそこらへんは問題ないです。

演技なのか倉冨さんが元々持っていらっしゃる資質なのかはわかりませんが、試合中の一挙一動に矢野くんの生真面目さが現れていたのも大変良かったですね。千秋楽だったので最後一人ずつ挨拶もあったのですが、他の人の挨拶を頷いたり笑ったりリアクション取りながら聞いていたので、倉冨さんの元々の性格がそういうふうなのかもしれないです。(横にいた佐倉大地役近藤さんはめちゃくちゃどうでもよさそうな表情で人の話を聞いていてそれはそれで面白かった) 

前述した最後の挨拶でも、倉冨さんが矢野くんの作中の台詞である「胸張って勝とうぜ!」を言ってくれて嬉しかったです。「胸張って勝とうぜ」は「自分にも、だぞ」に並び矢野くんの実直で誠実で仲間思いで曲がったことを看過しない性格を表している名台詞なので……。本当に嬉しかった、ありがとうございます。

 

そんなこんなで、HPのキャスト写真や舞台見始めの頃は「フーン?」と思っていた(失礼)のが終わる頃には「矢野くん♡♡♡」となりました。いい誕生日になりました。ありがとうございます。

 

 

そもそも、「美丞大狭山高校3年の矢野淳が好き」ということは、イコール、「今後ほぼ新規で出番が与えられないことが確定しているキャラクターが好き」ということです。

3年、対戦校、引退済、今後の主人公の物語に絡んでくるような要素を持ったキャラクターではない、人気もそれほどない、出番がアニメ化済。

このまま二度と本編に出ることもなく、描き下ろしイラストが出るわけもなく、何の情報も更新されないのだろうと思っていました。それが舞台になったことで、新規の「矢野淳」が提示されて、それを受け取ることができたこと、本当に嬉しく思います。

原作のひぐちアサ先生、この舞台を企画してくださった方々、スタッフの皆様、そして演者の倉冨尚人さん、本当にありがとうございました。